昔から仕事上のストレスで体調を崩すという話はよく耳にしますが、近年は、特に、人手不足の要因から、過労によるストレスが問題になっています。自分の処理能力を大きく超える仕事量を抱え、誰にも頼ることができず過労で倒れるケースが増えているのです。このような仕事上のストレスは、会社の組織体制や業務管理に問題がある場合が多いです。そのため、本来は会社側で従業員の状況を把握して問題改善のための方策を立てないといけないのですが、現実的に、従業員一人一人の状態をチェックするのは容易ではありません。
そこで、近年、上の問題を改善する目的で、厚生労働省の主導により、ストレスチェックという制度が導入されました。このストレスチェックは、会社に代わって従業員のストレス状態を把握するために行われるものです。その制度趣旨から、中規模以上の事業所に対して実施が義務づけられています。ストレスチェックでは、それぞれの従業員に対して、ストレス把握のための質問票が配布されます。
各々の従業員は、現在の自分の状態を思い起こしながら個々の設問に答えていきます。回答された質問票は、医師などの医療機関に従事する第三者によって回収され、回答の内容に基づいて従業員のストレスの程度が診断されます。なお、質問票の回答内容は、雇用主である会社には開示されません。仕事上のストレスはその会社の体制が業務管理に問題があることが多いのですが、問題点をあぶり出すためには、会社に不利益なことについても回答が行われることが必要なためです。